リーダーシップ開発・教育

【コラム】「世界第4位の移民大国日本の多文化共生とリーダーシップ」EQパートナーズ シニアコンサルタント 中村好伸 | 2021.12.07

経済のグローバル化や人口減少が進む中で2020年8月5日に発表された総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、2020年1月1日の外国人人口は287万人で、過去最高を記録した。国連の推計によれば、ヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージー ランドなど先進諸国での平均値としては、人口比においておよそ 10%が移民だが、日本の総人口(日本人+外国人)に占める割合も2.3%になり、過去最高を更新し今後も増加していくものと予想される。外国人の人口規模は、広島県(283万人)や、大阪市(273万 人)に匹敵するほど大きな数字となっている。

在住外国人が日本に定住する傾向が強まるとともに、その家族も増加し、日本で育つ在住外国人の子どもも多くなっている。 2006年3月、総務省が設置した「多文化共生の推進に関する研究会」から「多文化共生推進プログラム」が公表され、在住外国人の生活環境整備に向けて省庁横断的な検討が始まった。同年 12月には、「『生活者としての外国人』に関する総合的対応策」が取りまとめられた。さらに、 各地方自治体においても、在住外国人の生活に関する様々な課題について検討する動きが進んでおり、全国的に在住外国人に関する政策への関心が高まっている。日本は既に OECD に加盟する 35か国の中で、ドイツ、アメリカ、イギリスに次いで世界第4位の移民受け入れ国となっており、もはや移民大国であるといっても過言ではない。国連が定める、「出生あるいは市民権のある母国を離れて1年以上海外に移住している人」という移民の定義に当てはめた場合、日本での滞在1年を超える留学生や技能実習生などはすべて移民にあたる。

今までの日本の外国人政策では移民を受け入れず、高度人材としての労働者や留学生、研修生という名目でしか外国人を受け入れてこなかった。そしてそういった人々は一時的な滞在者として位置づけられてきた。一方で、永住許可者や国籍取得者の増加、外国人の滞在長期化や定住化といった 近年の傾向は、永住を前提として外国人を受け入れていないとはいえ、「結果としての移民」と 捉えることができる。しかし、そういった人々を招き入れることを前提とした制度の設計はしてこなかった。 実質的な移民が入管法の改正によって増加することは明白だが、移民に対する対策を講じて いないことが問題視されている。そこで、多文化共生社会ということが新しい日本社会の目標として意識されてきている。

日本は移民政策を講じていないことから、いくつかの問題がすでに起こっている。例えば、外国人住民の入居にあたって、賃貸住宅に入ろうと思っても、家主が外国人には、貸したがらなかったり、礼金などの日本特有の慣習や、ゴミの処理方法などの地域における生活ルール等、生活習慣の差異に起因するトラブルが起こりやすい。二つ目に教育についてである。長期間在留する外国人の増加に伴い、外国人の子どもの教育の問題は喫緊の課題となっている。特に、日本語教育と教科教育の両方のサポートを考慮する必要がある。保護者の日本語能力が十分でない場合、学校とうまくコミュニケーションが取れずに不就学児童を生んでしまう問題や、外国人の子どもが学校で孤立したり、いじめにあったりして居場所を失う問題、様々なルーツを持つ子どもたちのアイデンティティの 問題など、その課題や背景は複雑化している。このように、多文化共生はすでに日本の喫緊の課題となっている。この影響は当然会社内でも起こりうる問題であり、外国人採用が進めば、グローバルなリーダーシップが求められる。皆さんの会社の内なるグローバル化について、一緒に考える機会を頂戴できれば幸いです。

日本在外企業協会 グローバル経営 2021年6月号寄稿文編集
EQパートナーズ シニアコンサルタント 中村好伸