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「デザイン思考」の調査法〜エクストリームユーザー調査(藤井浩美)

 近年、デザイナーがデザインを行うプロセスや考え方を体系化したデザイン思考(デザインシンキング)が注目を浴びています。ユーザーの視点に立ち、本質的な課題やニーズを発見し、従来の改善とは異なるイノベイティブな課題解決、新しいものを生み出すための思考法として、製品・サービスの開発だけでなく、経営改革や街づくりなどその応用範囲が広がっています。

デザイン思考のプロセスは以下の5段階で進められます。

①観察、共感  ②定義   ③概念化  ④試作  ⑤テスト

 この考え方自体は、一見簡単と思われるかもしれませんが、一方で、デザイン思考は難しい、という声も良く聞かれます。その理由は恐らく、プロセスを追うこと自体は誰でもできるけれど、実際にやってみると従来の延長線上でない、革新的で効果が大きいアイディアを生み出すことは難しい、という事ではないでしょうか。従来の延長線上でない「それまで自分たちが見落としていた視点」、言い換えると「潜在的なニーズ」をいかにして見つけるかが勝負の分かれ目と言えるでしょう。

 デザイン思考の活動の中には、「潜在的なニーズ」を探すことを助けてくれるようなリサーチ方法があります。その一つが「エクストリームユーザ調査」です。エクストリームユーザ調査は、エクストリーム(extreme: 極端な)という単語に表されているように、平均的でない極端な志向(行動パターン、こだわり、状況など)を持つ人たちを調査する事です。以前、革新的な調理器具で知られるOXO社のNewYorkオフィスを訪問しお話を伺ったことがあります。右利き、左利き、老若男女さまざまな人々にとって使いやすいユニバーサルデザインに配慮した商品開発で知られている企業です。

※OXO社の計量カップ。目線を水平にしなくても、上からでも量を知る事ができます。

 そこでもイノベーションのための「エクストリームユーザー調査」について「我々は、普段全く料理をしない人にヒアリングをして、なぜそうなのか、を深く洞察します。また、プロの料理人が美味しい料理を作るために、また効率的な調理環境のために普段やっている事などを参考にしたりしています。」などとその重要性についてお話しされていました。メインとなるユーザーだけでなく、極端に離れたユーザーを調査する事で「メインユーザーにとってまだ顕在化していないニーズを浮き立たせようとする調査」ともいえるでしょう。

 この調査を応用すると、日常的にもいろいろな人と接する中で、自分と違うタイプの人に対しても、ちょっと興味を持って、なぜそうするのか、どんな工夫をしているか、など聞いてみる事で、話題も広がるし、いろいろなアイディアが湧いてくるかもしれませんね(笑)

EQパートナーズ エグゼクティブコンサルタント 藤井浩美
(元NECにてデザイン/ブランド/Web/CSRなどのマネジメントを担当)

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