御社の大谷翔平君は元気ですか？(中村好伸)
皆さん、こんにちは！ ＥＱパートナーズエクゼクティブコンサルタントの中村です。
今月のコラムで、若手の社員の育成について、最近考えていることの一端をご紹介いたします。
2022年度の新入社員のタイプは「新感覚の二刀流」
今年の春は、WBC（ワールドベースボールクラシック）での、大谷翔平選手の「二刀流」の大活躍によって日本中が大変な興奮に包まれ、侍ジャパンの優勝で幕を閉じました。その興奮の冷めないうちに、御社も新入社員を迎えているのではないでしょうか。
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が発表した、「新入社員の特徴とタイプ」によれば、今年二年目を迎えた、2022年度の新入社員のタイプは、「新感覚の二刀流」でした。皆さんの会社の大谷翔平君たちは元気に活躍しているでしょうか？
彼・彼女らは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まった頃、大学3年生になろうとしているときでした。このときから、感染拡大防止のため、多くの大学が入構禁止になり、大学の活動が制限されました。授業や就職活動さえもがオンラインで行われるようになり、ほとんどの活動が制限される中で大学生活を送った年代です。授業はオンデマンド中心、対面授業はゼミなどの少人数の授業で、就職活動においても、就職ガイダンス、会社説明会、採用試験、採用面接、内定式等、志望先に合わせて、オンラインと対面の両方のスタイルを二刀流のようにこなさざるを得ない状況でした。
オンラインコミュニケーションのメリットとデメリットに翻弄された就職活動
しかし、オンラインでのコミュニケーションには限界があります。学生は、職場の雰囲気や社風、仕事のイメージを知りたくても、そのための情報が十分ではありません。採用する側も、人柄や志望本気度の把握が難しい状況でした。
お互いに重要なことについて十分共有ができない不安を残しつつ、内定を得た結果、内定辞退者も増加しました。そのような状況でも、就職内定状況の数値は、日経新聞によれば、89.7% (厚生労働省、2022年2月1日現在)となっており、過去と比べそん色のない数字にはなっていましたが、実際には、学生、企業ともメリットとデメリットが共存していました。
メリットとしては、オンラインでの就職活動によって、いわゆるタイパ・コスパよく、就活を行えたということです。1日に数社、各地の企業を掛け持ちでき、授業の合間に面接をこなすことも可能でした。特に地方大学の学生は、恩恵を受けたといわれています。
説明会から面接、内定まですべてオンラインというケースも多く、最終面接だけが対面という企業も多くありました。中には「オンラインだけで内定までもらっていいのか?」という疑問を持つ学生も少なくなかったと思われています。
デメリットとしては、先輩や同級生、先生、キャリアセンター相談員と対面で会う機会が少なかったため、就職活動の状況がわからず、同級生と情報交換したり、助け合ったりすることが十分にできませんでした。
結果として、ITツール等を駆使して主体的に就活に取り組んだ学生と、消極的で準備が遅れ、うまく実力を発揮できない学生との二極化が進んだと言われています。
新入社員の感覚の違い「新感覚」を暖かく見守ろう!!
入社後も、「仕事や職場の雰囲気、想像していた会社生活とは違った!」という違和感を感じて悩むことが多くなる傾向があると言われています。違和感にも負けず、挑戦しようと感じてくれればよいですが、組織やビジネス社会にうまくなじめないと、短期間での退職につながるケースもあるかもしれません。
彼・彼女らを受け入れた上司や先輩社員の皆さんには、彼・彼女らの経験不足・情報不足のため未熟にみえる部分や、従来の新入社員とは異なる言動・オンライン慣れの反面、リアルコミュニケーションの不慣れ、配属部署や勤務地へのこだわりなど感覚の違いを、「新感覚」と捉え、温かく見守ってほしいと思います。
従来の新入社員とは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために異なった学生生活を送った結果でもあります。まずはこうした違いを受け止めてサポートいただきたいと思います。
このように一人ひとりの可能性を見極めて、教育、仕事を提供できれば、モチベーションをあげて大谷翔平選手のような、「リアル二刀流」として、新たな才能を開花する可能性は高いと考えられます。受け入れ側にとっても、働き方・コミュニケーション等のあり方について、彼・彼女らの「新感覚」に学ぶこともあるかも知れません。御社の大谷翔平君にご期待ください。
最後まで お読み頂きありがとうございました。
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EQパートナーズ株式会社 執行役員・エグゼクティブ・コンサルタント・講師 中村好伸
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