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アメリカが風邪をひくと日本が咳をする
~ Great Resignation 「大辞職」とQuiet Quitting 「頑張らない働き方」現象 (中村好伸)

アメリカでのGreat Resignation〜人生における労働の意義や価値を見直す

少し前にアメリカの会社や雇用主が直面していたのが、日本でも話題になりました Great Resignation と呼ばれる現象です。Resignとは、英語で自分の意思で仕事を辞めることで、日本では公職をやめる時に使われる辞任という言葉に一番近いかと思います。

ここで言うGreat Resignationとは、エンプロイメント・アットウィルという思想の下で、ハイアーアンドファイアーのアメリカでよくある大量解雇とは違っています。

アメリカの労働省が発表した統計によると、2022年8月には430万人以上が自ら職を辞したとのことで、社会に衝撃が走り日本でも話題になったのでご存知の方も多いかと思います。

Great Resignationの背景にあるのは、労働者が新型コロナ禍の中で、レイオフや解雇に追い込まれる人も多く、自分自身の仕事や働き方を振り返り、本当に自分に適しているかを考える機会を得たことがあると言われています。そして今コロナ禍が収束し、経済が再開し、アメリカでは空前の人手不足の状態が起きる中、多くの人々が、より満足できる働きがい、給与、Work-Life Balance、安全・健康、リモートワークで手にした勤務地・通勤の柔軟性などを求めて、職を辞める決断をした結果が、現在の人手不足による給与の高騰を招いているとも言えると思います。

ベビーブーマー世代が大量に引退する中、アメリカの労働者不足は今後も続き、このGreat Resignationの潮流は今後も社会を揺るがすと見られています。人々が人生における労働の意義や価値を見直すとき、会社・仕事場はそれに見合う新しい発想と仕組みで応えなければならないと言われて、経営者や人事に、そして社会に対して、大きな課題が投げかけられています。

頑張らない働き方〜Quiet Quitting

Quiet Quitting – 頑張らない働き方、この言葉からは、文字通り「静かに(仕事を)辞める」静かに職場を去っていくことかと思うかもしれませんが、そうではなく、仕事はそこそこにして給料分以上は頑張らない働き方という意味です。残業は基本的にお断り、仕事中に時間ができたら(会社のパソコンではネットサーフィンするとチェックされるので)スマホを楽しくチェックし、時間外や週末の私的な時間に仕事のメールを見るなど考えられない、最近のアメリカの若者の間で急激にバズっている言葉がQuiet Quitting だそうです。

コロナ禍のリモート勤務など、仕事とプライベートとの関係が見直され、 多くの若者が仕事を頑張りすぎることに疑問を感じているようで、TikTok などのソーシャル・メディアでは、Quiet Quittingをめぐる話題が若者の心を掴んでいると言われています。

もちろんアメリカでも、伝統的な価値観を有する年長の人々や会社の上司からは、Quiet Quittingなどとんでもないという批判がなされているそうで、当然のように、彼らの口からは、日本の上司や先輩と同様に、仕事にはベストを尽くせ、そうして信頼を勝ち得なさい、それが充実した人生を送ることにつながるという激励と叱咤の声が、多く寄せられているようですが、若者たちの反応は至って冷ややかだと言われています。

日本でも同様の課題?

ここまで読み進んで頂いて、あれ?これって日本でも同じことが起こってないでしょうか? アメリカの雇用主は、Great Resignationという、コロナ禍で新しい機会を求めて職を去る若者の「大辞職」で人手不足を経験していますが、日本では飲食店やタクシー運転者を、コロナ禍で退職させたが、景気回復にしたのも関わらず、戻ってもらえず、深刻な人員不足となっています。ホワイトカラー職場では中高年の所謂「働かない中年おじさん」などに対して、キャリア自律という名の下で、中高年の社員にリスキリングを求める動きがある一方、若者が入社時点で25%が、転職サイトにエントリーしているなど早期退職対応が求められるなど、多くの課題を抱えています。
 
最近、多くの会社を訪問させていただき人事部門の方にお聴きしますと、異口同音にミドルシニアと若年層の課題が話題になります。まさに アメリカが風邪をひくと日本が咳をする、アメリカで起こったことが形を変えて日本で起こってきているのではないでしょうか。

皆さんは解決策をお持ちでしょうか?

従業員一人一人に会社が向き合い、中高年の社員には、会社に貢献していると思える貢献実感や新たな仕事に挑戦してもらうスキル教育、若手社員には、日々成長していると感じられる成長実感と期待感を伝える、コミュニケーションの充実が求められていると思います。そのための、リーダー・マネジャー教育の充実が求められています。問題解決に一緒に取り組めたらありがたいと思います。

最後までお読みいただいてありがとうございました。米国の弁護士から送られてくる米国事情を読んで感じたことを書かせていただきました。皆さんのお考えや皆さんの会社でこんなふうにして解決しているなど、共有して頂ければ幸いです。

EQパートナーズ株式会社 執行役員・エグゼクティブ・コンサルタント・講師 中村好伸

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