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ダイバーシティの推進に必要な「ポジティブメガネ」(藤井浩美)

障がい者雇用7割の会社に学ぶこと

「24時間テレビ46」の「虹色のチョーク 知的障がい者と歩んだ町工場のキセキ(8月26日放送)」でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、書籍「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司著)でも取り上げられている日本理化学工業。国内のチョーク市場で7割のシェアを持ち、社員の大半が知的障がいがある事で知られるチョーク製造販売会社です。

当初は採用に消極的だった社長も、就業体験での二人の知的障害の少女の熱心な仕事ぶりや周りの社員の後押しで採用を決め、その後60年以上も積極的に障がい者雇用を継続してきたとのことです。

それほど長く継続してこられた理由は何なのでしょう。

最初の頃は苦労の連続だったそうです。けれども「人を工程に合わせるのではなく、工程を人に合わせる」、「能力を最大限に発揮させる」という考えのもと、製造工程や作業方法などにさまざまな創意工夫を行なった結果、健常者に劣らない仕事ができることがわかってきた、ということです。

このような、“創意工夫する文化”、”皆で協力し合う文化”が、日本理化学工業の障がい者雇用7割を実現した背景にあるのではと思います。

ダイバーシティ推進の難しさ

ダイバーシティ推進は女性・シニア活躍、障がい者雇用、LGBTQなどさまざまな観点で語られますが、その推進はなかなか一筋縄にはいかないといわれます。人は誰でも無意識の思い込みや過去の経験からくる「偏ったものの見方や偏見(アンコンシャス・バイアス)」を持っているからです。

7月12日に開催された弊社主催の公開セミナー「人と組織による実践経営学(貴志俊法講師)」の中では、そのような誰でも無意識の思い込みや偏見を持っている中で人々が理解・共感し合うためには、

   「前提として、相手の世界観、価値観を理解するように努めること」

が大切とのお話がありました。

当たり前のようですが、この前提がなければ、表面的なダイバーシティ推進になり、組織内での軋轢や誤解、チームワークや生産性の低下などが起きる可能性も出てくるため重要なポイントです。

上記の日本理化学工業の「工程を人に合わせる」「能力を最大限に発揮させる」という考え方は、まさに、この前提が実現している例といえるでしょう。一方で、ダイバーシティ推進が実際には難しいのは、この前提自体、実現が難しいということかもしれません。

違う価値観、多様な人たちのことを理解すること~「ネガティブメガネ」から「ポジティブメガネ」に

誰でも無意識の思い込みや偏見を持っていたり、異質な人間が一緒になることによって生じるネガティブな現象が起きる可能性がある中で、前述のような「相手の世界観、価値観を理解するように努める」意識を持てるためには、どのように考えたら良いのでしょう。

唐突な例で恐縮ですが、著名なジャズ・ギタリストのパット・マルティーノさん(故人)が友人のギタリスト高免信喜さんに語ったアドバイスをご紹介します(Youtube「ジャズ・ギタリスト高免信喜チャンネル」より) 

「練習で苦手なことに対して、苦手意識を持ちながら克服していくのではなく、自分を早く上達させてくれる友達のように思うことでポジティブに、気持ちも楽に取り組んでいける」

高免さんは、このアドバイスがとても励みになったとのこと。

この意識の変化を「ネガティブメガネ」から「ポジティブメガネ」にかけ替える、と考えてみてはどうでしょうか? 

言い換えると、ネガティブな気持ちにまとわりつく不安・恐れなどを感じるネガティブメガネから、「自分やチームを成長させてくれたり、自分やチームの可能性を広げてくれるかもしれない、という期待」のポジティブメガネにかけ替えるということです。

ダイバーシティ推進へ繋げるには、もしかしたらちょっと無理があるかもしれません。ただ、このような意識の切り替えについては、私自身が管理職として多くの、そして多様な部下のマネジメントをしてきた経験からも、「チームの能力を最大限に発揮させる」というチャレンジングな方向に自分の意識を切り替える意味でも有効に働くように思います。

ダイバーシティ推進は、皆が「ポジティブメガネ」にかけ替えることができれば、力強く前進していくのではないでしょうか。

EQパートナーズ株式会社 エグゼクティブ・コンサルタント/MBA 藤井浩美

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